国際巡回企画展「イセコレクション‐世界を魅了した中国陶磁」
2017/11/02

概要
 世界でもっとも注目される美術品コレクターの一人である伊勢彦信氏のコレクションは、これまではその一部の公開がされていましたが、今回はそのコレクションの真髄といえる中国陶磁の数々を紹介する国際巡回企画展を、パリの国立ギメ東洋美術館と大阪市立東洋陶磁美術館の2館で開催します。

 ギメ東洋美術館で、「日本人の美意識によって選び抜かれた中国陶磁」として紹介されるようにイセコレクションは、中国美術を「唐物」として珍重し、茶の湯の道具としても用いた日本の伝統的な感性と、陶磁器を美術品として観賞する現代的な感性の両方を併せ持っています。また、中国文化への深い理解に基づいた中国陶磁のコレクションはまさに光彩を放つものといえます。
 本展は6月21日より開催のギメ東洋美術館での“Porcelain, chefs-d’œuvre de la collection Ise”の帰国展としての開催となります。伝統と現代を併せ持った感性によって収集された戦国時代から清時代までの中国陶磁を、重要文化財2点を含めた88点で紹介します。

会期平成29年9月23日(土)~12月3日(日)

会場:大阪市立東洋陶磁美術館 展示室D、E

開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:月曜日(10/9は開館)、10/10(火)

観覧料:一般900(700)円、高大生550(450)円
・(  )内は20名以上の団体料金
・中学生以下、身体障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方(要証明)は無料
・企画展料金で館内の展示すべてをご覧いただけます。

主な展示品

粉彩花樹文瓶(ふんさい かじゅもんへい)
景徳鎮窯 清時代・雍正年間(1723~1735)在銘
高:45.0㎝ 径:22.7㎝

細く長い頸と丸く張った胴部とが絶妙なバランスを見せる瓶の器表に、紅白二種の花樹が描かれています。高台際から立ち上がった枝は胴部のふくらみに沿って横へ広がり、あるいは頸の先端へと伸び、まるで生きているかのようです。粉彩とは上絵技法の一種で、磁器の釉表に不透明の白色顔料で文様の下地を描き、その上に再度様々な色の顔料で絵付けをして焼成したものです。清時代の康熙年間(1662~1722)末に、ヨーロッパの無線七宝の技術を応用して考案されました。不透明顔料を用いた微妙な濃淡の描きわけにより、このような繊細な文様表現が可能となりました。

黒釉刻花牡丹唐草文梅瓶(こくゆうこっかぼたんからくさもんめいぴん)
磁州窯 北宋時代・11~12世紀
高:30.9cm 径:20.2cm

全面に黒釉を掛け、文様の周りを削り落とした掻落の技法によって、胴部に牡丹唐草を表し、削り落とした地の部分に白泥を塗り込めた丁寧な作品となっています。河北省磁県観台鎮を中心とした磁州窯で、北宋時代にこのように黒と白のコントラストが美しい作品が作られ、磁州窯の特色の一つといえます。
重要文化財 五彩金襴手瓢形瓶(
ごさいきんらんで ひょうけいへい)
景徳鎮窯 明時代・16世紀
高:55.0cm 径:25.0cm

明時代の嘉靖年間(1522~1566)に、景徳鎮の民窯で色絵磁器の上に金彩を施す金襴手が盛んに作られ、日本の茶人に好まれました。そのため、日本には金襴手の優品が多く残されていますが、本作品はそのなかでも瓢形瓶としては最大級のものです。窓絵が上部に三つ、下部に四つ配され、下部の円窓内には雌雄の鹿、鶴、孔雀、雉が描かれ華麗かつ精緻な作品となっています。

重要美術品 五彩唐草文有蓋壺(ごさい からくさもん ゆうがいこ)
景徳鎮窯 明時代・1623年
高:19.6cm 径:20.7cm

青花の上に赤、緑、黄などで上絵付する五彩は、嘉靖万暦年間に多く作られた技法です。本作品は高台内に「天啓参年唐氏製造」の青花銘があり、万暦(1573~1620)に続く天啓年間(1621~1627)の1623年に景徳鎮の民窯で作られたものであることがわかります。胴部中央に配された六つの花は青花と赤に彩られ、また青花で描かれた唐草には緑、赤などがほどこされており、たっぷりと張った胴部を持つ華麗な作品です。

主催:大阪市立東洋陶磁美術館、朝日新聞社
お問い合わせ:大阪市立東洋陶磁美術館
TEL.06-6223-0055  FAX.06-6223-0057