【九州国立博物館】桃山展
2017/11/06
特別展

会期:平成29年10月14日(土)~ 11月26日(日)

休館日:毎週月曜日

開館時間

日曜日・火曜~木曜日
9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)

金曜日・土曜日【夜間開館
9時30分~20時00分
(入館は19時30分まで)

観覧料一 般 1,600円(1,400円)/高大生 1,000円(800円)/小中生 600円(400円)

【夜間割引料金】
一 般 1,400円/高大生 800円/小中生 400円
(夜間開館当日17時以降に当館内券売所で販売。夜間割引料金で購入されたチケットで17時以前に入場することはできません。)

【リピーター割引】
「新・桃山展」ではリピーター割引として、新・桃山展チケットの半券をチケット売り場でご提示頂くと入場料が当日料金より200円割引となります。(ほかの割引と併用はできません。)

主な作品

第1章 アジアの海と信長の覇権

海賊がアジアの歴史を切り拓いた

倭寇図巻(わこうずかん)
中国・明時代 16世紀
東京大学史料編纂所

《展示期間》10月31日~11月26日

16世紀中葉に密貿易や略奪を活発化させた倭寇と、それを制圧する明軍の戦いを描いた中国の画巻。1543年(天文12)頃、ポルトガル人は倭寇の船に乗り種子島に鉄砲を伝えた。本図にもこの武器を手にする倭寇が描かれる。

<日本にキリスト教を日本にキリスト教を伝えた聖人>

【重要文化財】 聖フランシスコ・ザビエル像
江戸時代 17世紀
兵庫・神戸市立博物館
《展示期間》通期

日本にキリスト教を伝えたザビエル(1506~52)は、スペイン・バスク地方の出身。イエズス会の結成に参加し、ポルトガル王の要請でインドに派遣された。1549年(天文18)に鹿児島へ上陸し、2年3ヶ月の滞在中に山口や豊後府内などで布教を繰り広げた。

第2章 秀吉の世界への眼差し

異形の姿がしめす利休の理想

重要文化財 黒楽茶碗 銘 ムキ栗
長次郎
安土桃山時代 16世紀
国(文化庁保管)

《展示期間》通期

底部から腰部は碗形でありながら、胴部を四方形とする、他に類を見ない異形の姿の茶碗。千利休(1522~91)は自らの理想に適う茶碗を、長次郎を始め数人の陶工に焼かせた。大胆な器形でありながら、利休ならではの厳しさをもった姿が静謐(せいひつ)な印象を与える。不思議な魅力のある楽茶碗の優品。

<幻の南蛮屏風、約80年ぶりの公開>

(右隻)

(左隻)

南蛮屏風(なんばんびょうぶ)
狩野内膳筆
安土桃山~江戸時代 16~17世紀

《展示期間》10月14日~10月29日

異国の港から出帆し(左隻)、日本の港へと到着する南蛮船(右隻)を描く。豊臣家の画家として知られる狩野内膳(ないぜん)(1570~1616)を最初に見い出した戦国大名、但馬出石(たじまいずし)藩主小出家に伝来した。戦災で焼失したと考えられていたが、約80年ぶりの公開である。

<天下人の心を掴んだ、圧倒的な存在感>

【国宝】 檜図屏風(ひのきずびょうぶ)
狩野永徳筆
安土桃山時代 1590年(天正18)
東京国立博物館

《展示期間》11月14日~11月26日

狩野永徳(1543~90)の没年に、秀吉の命により八条宮家の襖絵として描かれた大作。金箔と彩色の明快で豪華なコントラストや、枝を広げた巨大な檜の堂々たる迫力に、巨匠・永徳が目指した美の境地を見ることができる。

<日本水墨画の到達点>


【国宝】 松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)
長谷川等伯筆
安土桃山時代 16世紀
東京国立博物館

《展示期間》11月14日~11月26日

墨のみで描かれた松林、その本当のテーマは、柔らかな光線や立ち込める霧の空気感である。松葉の筆致は荒く大胆だが、余白の多い情景は静寂に支配される。不規則な紙継ぎが草稿を思わせる、謎めいた長谷川等伯(1539~1610)の代表作。

第3章 徳川幕府と「鎖国」への道

<臼杵に漂着したオランダ船の船尾像>

【重要文化財】 エラスムス像
ネーデルラント連邦共和国時代・1598年
栃木・龍江院

《展示期間》通期

1600年(慶長5)豊後国臼杵(うすき)の海岸に漂着したオランダ船リーフデ号の船尾像。銘文が刻まれており、この人物がオランダの人文学者デジデリウス・エラスムス・ロッテルダムス(1466頃~1536)であること、リーフデ号が1598年の就航であることが知られる。この船には、のちに徳川家康に重用されたイギリス人航海士ウィリアム・アダムス(三浦按針みうらあんじん、1564~1620)も乗船していた。

<躍動する異国の王・南蛮美術の白眉>

【重要文化財】 泰西王侯騎馬図屏風(たいせいおうこうきばずびょうぶ)
江戸時代 17世紀
兵庫・神戸市立博物館

《展示期間》10月14日~11月5日

【重要文化財】 泰西王侯騎馬図屏風(たいせいおうこうきばずびょうぶ)
江戸時代 17世紀
東京・サントリー美術館

《展示期間》11月7日~11月26日

元は会津藩若松城(鶴ヶ城)に伝来した。騎馬像は、印刷業の中心地であったアムステルダムやアントウェルペンで17世紀初頭に刊行された世界地図や『古代ローマ皇帝図集』に基づく。日本のセミナリオで西洋絵画の訓練を受けた画家たちが、小さな輸入銅版画をもとに描き上げた初期洋風画の白眉。

<家康お抱えの名工による南蛮鉄使用の傑作>

刀 銘 以南蛮鉄於武州江戸越前康継(なんばんてつをもってぶしゅうえどにおいてえちぜんやすつぐ)
慶長十九年八月吉日
越前康継作
江戸時代 1614年(慶長19)
愛知・徳川美術館

《展示期間》通期

近江出身の刀工康継(やすつぐ)は、徳川家康・秀忠に召し出され、江戸にて鍛刀を行い、葵紋と「康」の字を賜った刀工。南蛮船によって運ばれた南アジア産の「南蛮鉄」を特に好んで用いたことで知られる。康継には年紀のある作が極めて少なく、貴重である。

エピローグ 屏風の軌跡

<日本の屏風絵にそっくり「ノアの箱舟」屏風>

大洪水図屏風(だいこうずいずびょうぶ)
中国(マカオ)
17世紀末~18世紀前半
メキシコ・ソウマヤ美術館

《展示期間》通期

旧約聖書『創世記』に記される、ノアの箱舟の物語を描く。長崎との間の定期交易船が途絶えた17世紀末のマカオで制作されたとされる。金雲の表現や表装に日本の屏風との類似点が見出せる。唐獅子(からじし)や鳳凰などの東洋的なモチーフも多い。

<ヨーロッパの銅版画が、アジアで屏風に変身>

キリスト教説話図屏風(きょうせつわずびょうぶ)
中国(マカオ)
17世紀末~18世紀前半
ポルトガル・東方基金/オリエント美術館

《展示期間》通期

主にヨーロッパへ輸出するために中国南部で作られた「コロマンデル屏風」に、聖書の逸話などを描いた8枚の油彩画をはめ込んだ作品。1584年にアントウェルペン(ベルギー)で制作された銅版画が、1606年に中国で刊行された『程氏墨苑』に模刻され、さらに本屏風にも写されたか。東西の図像の伝播が辿れる稀有な作例。

南米版「泰西王侯騎馬図屏風」>



ローマ皇帝図屏風(こうていずびょうぶ)
伝ベルナルド・ロドリゲス画
エクアドル(キト) 18世紀末
メキシコ・ソウマヤ美術館

《展示期間》通期

18世紀、スペイン植民地だったエクアドルの画家が制作したと伝えられる。この屏風は、日本のセミナリオの画家たちも手本にした『古代ローマ皇帝図集』の挿絵などにもとづいて描かれている。日本の「泰西王侯騎馬図」と直接的な影響関係はないが、構図、主題の類似は注目に値する。

主催:九州国立博物館・福岡県、西日本新聞社、TNCテレビ西日本
お問合せ:050-5542-8600(NTTハローダイヤル 午前8時~午後10時/年中無休)