本展の見どころ
横山大観(1868-1958)の生誕150年、没後60年を記念し、展覧会を開催します。
東京美術学校に学んだ大観は、師の岡倉天心とともに同校を去り、日本美術院を設立。新たな時代における新たな絵画の創出を目指しました。西洋からさまざまなものや情報が押し寄せる時代の中、日本の絵画の伝統的な技法を継承しつつ、時に改変を試み、また主題についても従来の定型をかるがると脱してみせました。やがてこうした手法はさらに広がりを見せ、自在な画風と深い精神性をそなえた数々の大作を生み出しました。本展では、40メートル超で日本一長い画巻《生々流転》(重要文化財)や《夜桜》《紅葉》をはじめとする代表作に、数々の新出作品や習作などの資料をあわせて展示し、制作の過程から彼の芸術の本質を改めて探ります。
水彩画の集大成
《 生々流転 せいせいるてん 》 1923(大正12)年 絹本墨画 東京国立近代美術館蔵 重要文化財 京都展は巻き替えあり
全長40メートル超。日本一長い画巻に水の一生の物語を描く。スタートは山間に湧く雲。雲が一粒の滴となり、地に落ちて流れはじめる。川は周囲の山々や動物、人々の生活を潤しながら次第に川幅を増し、やがて海へと流れ込む。荒れ狂う海には龍が躍り、水はついに雲となって天へと昇る。そして物語は振り出しに戻るのだ。大観の水墨技法のすべてがここに注ぎ込まれている。
≪夜桜 よざくら ≫ 1929(昭和4)年 紙本彩色 大倉集古館蔵 東京展5/8-5/27展示、京都展6/8-7/1展示
燃え盛る 篝火 かがりび に夜桜が浮かびあがり、夢幻の世界へといざなう。ローマ日本美術展(1930年)に出品された大観渾身の作。
《 紅葉 こうよう 》 1931(昭和6)年 紙本彩色 足立美術館蔵 東京展5/8-5/27展示、京都展6/8-7/1展示
鮮明な色にプラチナが輝く絢爛豪華な作品。力強い造形によって日本画材の美しさを最大限に引き出している。
《 白衣観音 びゃくえかんのん 》 1908(明治41)年 絹本彩色 個人蔵
今から105年前に刊行された『大観画集』(芸艸堂、1912年刊)にモノクロで掲載されて以降、行方が分からなかった。文展で受賞した《流燈》(1909年、茨城県近代美術館蔵)と同時期の作で、幅は倍以上ある大作。観音のいささか短い手足や、描写は緻密なのに立体感や奥行きにつながらない点にもどかしさがあるが、それらを差し引いても余りある表現への熱意が魅力だ。
《ガンヂスの水》 1906(明治39)年 絹本彩色 シーピー化成株式会社蔵
初期日本美術院が編集に関わった『日本美術』に掲載されている作品。ヨーロッパ遊学中に契約したロンドンの画商へ、帰国後に送った作品のうちの1点とみられる。
アクセス
東京展
会場
東京国立近代美術館
1F企画展ギャラリー、2Fギャラリー4
所在地
〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
アクセス
東京メトロ東西線「竹橋」駅 1b出口より徒歩3分
京都展
会場
京都国立近代美術館
所在地
〒606-8344 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
アクセス
京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
地下鉄東西線「東山」駅下車徒歩約10分
観覧料:
一般 1,500(1,300)円
大学生 1,100(900)円
高校生 600(400)円
*()内は前売および20名以上の団体料金、いずれも消費税込
*中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。いずれも要証明
◎前売券販売期間:3月1日(木)−6月7日(木)