会期:2018年6月9日(土)~9月9日(日)
テーマ展丹波の民藝 生田和孝の陶業
大正末頃、思想家の柳宗悦(1889~1961)は、その土地に根付く無名の職人の手によって生み出された暮らしのための実用品の中に、用に即することで生まれる健やかな美しさを見出し、新しい美の概念を提唱しました。そして、大正14年(1925)、陶芸家の河井寬次郎(1890~1966)、濱田庄司(1894~1978)とともに、「民衆的工藝」の省略として「民藝」という言葉を作り出し、その新しい概念を普及するべく、「民藝運動」を推進しました。「手仕事の復権」、「用の美」を謳った民藝運動は、やがて日本各地に残る工芸品の保存と活性化を促し、その精神は、現在に至るまで、あらゆるものづくりに大きな影響を与えています。
鳥取県東伯郡北栄町に生まれた陶芸家の生田和孝(1927~1982)は、戦後、京都の河井の内弟子として修業を積んだ後、日常生活に用いる器の制作を通じて、「用の美」を追求することを決意し、昭和31年(1956)、丹波焼で知られる兵庫県篠山市今田町に移り住みました。丹波焼の陶技を学び、昭和34年(1959)に自らの窯を築いて独立を果たすと、面取と鎬手という二つの技法を主軸に、丹波の雑木を原料とする土灰、郷里の鳥取から取り寄せた籾殻灰を加えた糠釉、飴釉、黒釉などの釉薬を駆使し、民藝の精神を体現するような、力強くも温かい、独自の作風を確立していきました。先人の技から学び、自然からもたらされる限られた素材を用いて、厳しく自らの作陶を追求する生田の姿勢は、やがて自己の表現へと高められた堂々たる造形性を示すものを生みだし、昭和50年(1975)、第3回日本陶芸展で優秀作品賞・文部大臣賞を受賞するなど、高い評価を得ました。昭和57年(1982)、惜しくも55歳で生田は逝去しますが、その制作スタイルと精神は脈々と受け継がれ、生田が育んだ民藝の一系譜として、今も丹波に息づいています。
本展では、昭和40年代に生田の知遇を得、親交を深めた一人のコレクターによる収集作品を通して、その幅広い作品の魅力に迫ります。
主な出品作品
1. 生田和孝 糠釉墨流四方瓶 (1962~69年) 個人蔵
2. 生田和孝 海鼠釉面取壺 (1965年) 個人蔵
3. 生田和孝 海鼠釉面取鉢 (1980年) 個人蔵
4. 生田和孝 糠釉鎬大鉢 (1979年) 個人蔵
5. 生田和孝 飴釉扁壺 (1961年) 個人蔵
6. 生田和孝 柿釉面取土瓶 (1975年) 個人蔵
概要
展覧会名 丹波の民藝 生田和孝の陶業
会期 2018年6月9日(土)~9月9日(日)
休館日 月曜日
開館時間 午前10時~午後6時
※入館はいずれも閉館の30分前まで
出品点数 約76件
会場 兵庫陶芸美術館 展示棟B1 展示室1
観覧料
個人 団体 夜間(17:00~)
一般 ¥1,000 ¥800 ¥500
大学生 ¥800 ¥600 ¥400
20名以上の場合は団体割引料金になります。
高校生以下は無料です。
70歳以上の方は半額になります。
障害のある方は半額、その介助者1名は無料になります。
交通
兵庫陶芸美術館
〒669-2135 兵庫県篠山市今田町上立杭4
JR福知山線「相野」駅下車(大阪駅から約50分)。駅前より神姫グリーンバス「兵庫陶芸美術館」「こんだ薬師温泉」。
または「清水寺」行き乗車約15分、「兵庫陶芸美術館」下車(運賃:片道300円)。
相野駅前よりタクシーの便もあります。